本作は、コメディの枠を根底から破壊するような、グロテスクで剥き出しの生命力に満ちた怪作です。再開発を控えたスラムを舞台に、人間の欲望と孤独をシュールかつ極彩色のエネルギーで描き出す演出は圧巻。タイトルの「かわいい」という言葉が内包する強烈なアイロニーと、泥臭い人間賛歌が混じり合う独特の世界観は、観る者の倫理観を心地よく揺さぶります。
俳優陣の変貌ぶりも見逃せません。チョン・ジェヨンやキム・ソクフンが見せる野生味溢れる演技と、イェ・ジウォンが放つ浮世離れした美しさが火花を散らし、機能不全な家族の絆をエキセントリックに体現しています。醜悪さの中に宿る純粋さを掬い上げるその視線は、滑稽でありながらも切実で、映像作品でしか到達し得ない過激な優しさに満ちています。