あらすじ
メイプル・レコード新人発掘部門のかんなは、会社退職予定のその日、動画サイトに投稿されたパンクバンド、少年メリケンサックに釘付けになる。イケメンギタリストがギンギンに弾きまくり、凶暴なパフォーマンスでファンを熱狂させているのだ。早速、バンドとの契約に乗り込むと、そこにいたのはイケメン青年ではなく、昼間から酔っ払ったオッサン。動画に投稿されていたのは25年前のライブ映像で、メンバーは50代になっていた!
作品考察・見どころ
宮藤官九郎監督の真骨頂と言える本作の本質は、輝かしい虚像と泥臭い現実が衝突する際に生まれる爆発的なエネルギーにあります。清楚なイメージをかなぐり捨て、変顔や怒号を連発する宮﨑あおいのコメディエンヌとしての才能が画面を席巻します。虚飾にまみれた音楽業界への痛烈な風刺を、パンクロックの疾走感と下劣な笑いで包み込む演出は、観る者の理性を心地よく破壊してくれます。
特筆すべきは佐藤浩市らベテラン陣の狂演です。かつてのカリスマが無様な中年として醜態を晒す姿は、滑稽ながらも愛おしく、加齢の残酷さと消えない初期衝動の尊さを突きつけます。単なるドタバタ劇に留まらず、人生の落とし前をどうつけるかという普遍的テーマを、歪んだギターの爆音とともに提示する、魂を揺さぶる傑作です。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。