オペレッタの華やかさとミステリーの緊張感が鮮烈に交錯する本作の魅力は、何と言っても主役を張るメアリー・エリスの圧倒的な存在感に集約されます。舞台上での気高さと、疑惑の渦中に身を置く逃亡者としての危うさ。この相反する二面性が、光と影を強調した映像美の中で見事に調和し、観客を陶酔へと誘います。
物語の核心を突くのは、真実を隠し通そうとする者の悲哀と、愛ゆえに真実を暴こうとする者の葛藤です。ウォルター・ピジョンら実力派キャストが織りなす重厚な演技合戦は、単なる謎解きを超えた人間ドラマの深淵を覗かせます。一曲の歌が、救いとなるか、あるいは破滅の引き金となるか。そのスリリングな演出から目が離せません。