石井輝男監督が放つ、ドライでスタイリッシュな映像美こそが本作の神髄です。旧来の任侠映画とは一線を画す、モダンで乾いたハードボイルドの空気感が全編を支配しており、暴力の連鎖の中に虚無的な美学を見事に昇華させています。都市の闇を背景に、組織の論理と個人の情念が激突する様は、今なお色褪せない鮮烈な輝きを放っています。
鶴田浩二の静謐ながらも圧倒的な威圧感、そして若き日の梅宮辰夫が放つ熱量が火花を散らす演技合戦は見逃せません。紅一点の三田佳子が添える繊細な華やぎも、血生臭い男たちの世界に深い奥行きを与えています。これは単なる犯罪映画ではなく、滅びゆく者の矜持を刻みつけた、情熱的かつ冷徹な人間ドラマの傑作といえるでしょう。