現代台湾の格差社会という重い主題を、シュールなコメディと瑞々しい映像美で見事に包み込んだ傑作です。廃品回収に出すために孫文像を盗み出すという滑稽な計画の裏には、持たざる若者たちの切実な叫びが潜んでいます。主演の新人たちが放つ、あどけなさと必死さが混ざり合った剥き出しの熱演は、観る者の胸を強く締め付けます。
易智言監督の抑制された演出は、貧困を単なる悲劇として消費させず、淡々としたリズムの中に社会の構造的な歪みを浮き彫りにします。救いようのない現実のなかで衝突し、走り続ける彼らの姿には、残酷なまでの生命力が宿っています。建国の父が掲げた理想と、現代の歪な格差のコントラストを鋭く突く、最高に熱くてほろ苦い傑作です。