あらすじ
夫のガブリエルは著名な物理学教授で妻マリカは芸術家。二人は9歳の息子エロルと共に幸せな家庭を築いていた。ある日、学会に出掛けたガブリエルが、突如何の痕跡も残さず地球上から消えてしまう。ガブリエルの失踪は、マリカを憔悴させ、21歳になったエロルは、祖父でありガブリエルの師であるサルの元で物理学を学び始める。そして、サルが発見したガブリエルの研究ノートから、彼がタイムトラベルを研究していたという驚愕の事実を知ることになる。
エロルは危険を顧みず、父と再会するためタイムトラベルに挑む。
原作との違い・作品考察
この作品は、SFという枠組みを借りて「喪失と再生」という普遍的なテーマを極限まで突き詰めた珠玉の人間ドラマです。時間の改変という知的好奇心を刺激するギミックが、愛する人を失った家族の魂の叫びと見事に融合しています。静謐でどこか憂いを帯びた映像美は、過去に囚われた人々の孤独を鮮明に描き出し、観る者の心に深く突き刺さります。
ジリアン・アンダーソンが魅せる脆くも美しい母親像と、ハーレイ・ジョエル・オスメントが体現する運命を変えようとする執念の演技は圧巻の一言。科学の可能性と、それに伴う過酷な代償を鋭く切り取った本作は、愛のために何を犠牲にできるのかという究極の問いを突きつけます。知的な興奮と切なさが交錯する、忘れがたい名作です。