あらすじ
1996年のオリンピックで驚異的な新記録が次々に打ち立てられ、世界は「超人類の出現!」と囃し立てる。さらに「超人類」たちの活躍は芸術や科学の分野にもおよび、世界は「超人類」たちのおかげで飛躍的な進歩を遂げようとしてた。しかし同じ時、ブラック・ジャックは90才の老人のように使い古された内臓を持つ少女の死に立ち会い、愕然となる。超人類たちとこの少女との間に隠されていた陰謀の魔の手が、真相を突き止めようとするブラック・ジャックに伸びる…。
作品考察・見どころ
出﨑統監督の美学が結晶した本作は、医療ドラマの枠を超え、神の領域に挑む人間の傲慢さを描く壮大な人間賛歌です。独特の光の演出と「止め絵」が、ブラック・ジャックの孤独な魂と超人類の悲哀を鮮烈に描き出します。大塚明夫氏の重厚な演技は、冷徹さと慈愛の狭間で揺れる主人公に圧倒的な実在感を与え、観る者の心を激しく揺さぶります。
原作のヒューマニズムを核に据えつつ、映画独自の劇画的なアプローチで生命の尊厳を鋭利に問い直しています。手塚治虫の柔らかな筆致から離れ、緻密でハードな映像表現へと転換したことで、医学の光と影というテーマがより深く、重厚に響きます。映像でしか成し得ないスケール感で描かれる葛藤は、原作ファンをも唸らせる至高の完成度を誇ります。