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ポール・シュレイダーが描く三島由紀夫の肖像は、単なる伝記映画の枠を遥かに超越しています。石岡瑛子の強烈な色彩美を放つ美術とフィリップ・グラスの律動的な音楽が、三島の精神世界を演劇的な様式美で構築する演出は圧巻です。虚構と現実が激しく交錯し、一人の天才が究極の「美」と「死」に向かって突き進む様を、これほどまでに官能的かつ知的に描き出した映像体験は他に類を見ません。 主演の緒形拳が見せる圧倒的なまでの存在感は、三島という多面的な人間の孤独と熱狂を鮮やかに体現しています。自身の肉体すらも芸術作品へと変容させようとした壮絶な渇望が、映像の端々から溢れ出し、観る者の魂を激しく揺さぶります。これは「文」と「武」の統合を目指した一人の男の美学が結実した、まさに映像による壮大な鎮魂歌といえるでしょう。
監督: Guy Verney
制作: Sydney Newman