ヨン・ファン監督が描く極彩色の香港を背景に、若き日のダニエル・ウーとスティーブン・フォンが放つ一瞬の永遠とも言える輝きこそが、本作の真髄です。彼らの瑞々しくも危うい美しさは、単なる視覚的享楽を超え、触れれば壊れてしまいそうな青春の虚無感を見事に具現化しています。
特筆すべきは、記号化された同性愛の枠組みを打ち破り、一人の人間が自己のアイデンティティと愛に葛藤する姿を、詩的かつ残酷に描き切った点です。完璧な秩序の中に潜む歪みや、家族への愛憎に飢えた魂の彷徨が、観る者の心の深淵を揺さぶります。これは、愛の多様性を肯定するだけでなく、人間が抱える根源的な孤独を救済しようとする情熱的な祈りの物語なのです。