本作の真髄は、パッツィ・ケリーとセルマ・トッドという希代のコメディエンヌが見せる、火花散るような絶妙な掛け合いに集約されています。上昇志向に燃える優雅な振る舞いと、それを容赦なく突き崩す野性味溢れる直球のユーモア。この正反対のエネルギーが衝突することで生まれる爆発的な笑いは、黄金期のハリウッド・コメディが到達した一つの完成形と言えるでしょう。
限られた空間を最大限に活かした視覚的な演出も実に見事です。虚飾にまみれた見栄や階級意識を、痛烈かつ軽妙なドタバタ劇へと昇華させる手腕には、時代を超えて観る者を惹きつける圧倒的な力があります。人間の滑稽さと愛らしさを同時に描き出す本作は、単なる娯楽の枠を超え、笑いの奥底にある「ありのままの自分」の尊さを私たちに熱く語りかけてくるのです。