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本作の最大の魅力は、トニー・カーティスが体現する「軽薄な悪の美学」にあります。ブラックユーモアの極致とも言える洗練された演出は、観客を非道なはずの犯行へと鮮やかに誘い込みます。特に、ライオネル・ジェフリーズとの絶妙な掛け合いが醸し出す滑稽さは、人間の欲望が持つ醜さと可笑しさを同時に描き出し、この上なく贅沢な喜劇へと昇華させています。 60年代特有の洒脱なビジュアルも特筆すべき点です。華やかな舞台装置とは裏腹に、物語の根底には「欺く者が欺かれる」という皮肉な人生の真理が冷徹に流れています。ロザンナ・スキャフィーノのミステリアスな存在感が火花を散らす心理戦は、単なる犯罪コメディを超えた知的な興奮を約束してくれるでしょう。悪徳がこれほどまでに美しく、そして痛快に響く作品は他にありません。
監督: Ken Hughes
脚本: Ken Hughes / Ronald Harwood / Richard Deeming
音楽: Dennis Farnon
制作: Ray Stark / Ken Hughes
撮影監督: Denys N. Coop
制作会社: Paramount Pictures / Seven Arts