あらすじ
日本政府は人間の力では対応できない問題をロボットに解決させるARKプロジェクトを進めていたが、その中心人物であるロボット工学の世界的権威・光明寺ノブヒコが実験中の事故で命を落としてしまう。プロジェクトは光明寺のライバルだった神崎と国防大臣・椿谷に引き継がれるが、椿谷は計画を完成させる鍵となるものを光明寺の子どもミツコとマサルが握っているとにらむ。椿谷の魔の手が迫るミツコたちだったが、その前に光明寺が開発した良心回路を内蔵したロボット、ジロー(キカイダー)が現れる。
作品考察・見どころ
本作の真髄は、良心回路という不完全なシステムを抱えた機械の、震えるような葛藤にあります。善と悪の間で激しく揺れ動くジローの姿は、記号化された現代社会において「自分」を模索する我々の写し鏡と言えるでしょう。主演の入江甚儀による抑制された演技が無機質なボディに宿る純粋な魂を浮き彫りにし、観る者の心に深い悲哀と切実な希望を突きつけます。
原作である石ノ森章太郎の精神性を現代的に再構築した本作は、特撮の枠を超えた重厚なSF悲劇へと昇華されました。漫画版が持つダークな叙情性を、実写ならではの硬質なメカニカル造形と最新VFXで見事に補完しており、アンドロイドが抱く「心」の質量に圧倒的なリアリティを与えています。単なるリメイクではない、映像表現としての新たな命の鼓動がここにあります。