リンゴ・ラム監督が描く、都会の闇と人間の精神的崩壊を極限まで突き詰めた傑作です。本作の真髄は、ホラー的な超自然的恐怖と、現実的な犯罪スリラーが境界線なく溶け合う不穏な空気感にあります。観客をじわじわと追い詰める冷徹な演出は、目に見えない恐怖がいかに個人の内面を蝕み、豹変させるかを鋭く問いかけてきます。
劉青雲の狂気を孕んだ眼差しと、レオン・カーフェイの静かな熱演がぶつかり合う様は圧巻の一言。誰しもが日常の淵で被害者から怪物へと転じうるという、人間性の不条理を突きつけるメッセージは、今なお色褪せない強度を放っています。単なるスリラーを超え、観る者の魂を震わせる心理戦の妙を、その眼でぜひ確かめてください。