戦後最大のミステリーを題材とした本作は、湿り気を帯びたモノクロ映像が放つ圧倒的なリアリズムが魅力です。熊井啓監督は占領下の日本に渦巻く「闇」を冷徹にえぐり出し、単なる事件の追及を超えた権力と個人の凄まじい対峙を描き出しました。時代の転換点に漂う焦燥感が、観る者の肌を刺すような緊張感を生んでいます。
主演の仲代達矢が魂を削り演じる記者の執念は圧巻です。真実を追うほどに深淵に飲み込まれていく孤独な姿は、歴史の空白に挑む人間の尊厳を体現しています。情報の渦に翻弄される現代の我々に対し、権力の陰に葬られた真実を問う重みを、情熱的に突きつけてくる衝撃の傑作です。