山々に生きる漂白の民、サンカの世界を圧倒的なリアリズムで描いた本作は、文明に抗う人間の根源的な生命力を激しく突きつけます。中島貞夫監督が捉えた自然の猛々しさと、その中で繰り広げられる泥臭くも崇高な生存競争は、観る者の本能を揺さぶり、単なる歴史劇を超えた哲学的な重みを感じさせます。
主演の萩原健一が見せる、獣のような野性味と脆さを併せ持った演技は正に圧巻です。国家という枠組みから逸脱して生きる気高さと、近代化の波に消えゆく者の哀切を、剥き出しの映像美で見事に表現しています。定住を拒み、己の掟に殉じる人々の姿を通して、真の自由とは何かを激しく問い直す、魂の震える傑作です。