戦国という動乱の時代を背景に、個の純愛と権力構造が激突する様を、静謐かつ鮮烈な映像美で描き出した傑作です。中野良子が体現するお吟の、凛とした佇まいは観る者の心を震わせます。茶の湯の静寂と、その裏に潜む政治的な情念が火花を散らす演出は、映像ならではの緊張感に満ちています。
志村喬演じる千利休の圧倒的な存在感も圧巻です。彼の沈黙は、乱世における信念の重みを物語ります。理不尽な運命に抗い、己の魂の純潔を貫こうとする人間の崇高な輝き。本作は単なる悲恋を超え、時代に翻弄されながらも気高く咲き誇る精神の極致を、熱く問いかけてくるのです。