あらすじ
不義によって産まれた娘が、成長して母親と同じ罪を犯してしまう。死後、彼女は地獄に堕ち、七大地獄を目の当たりにする。業の恐ろしさを描いた幻想劇。
作品考察・見どころ
神代辰巳監督が放つ本作は、単なるホラーの枠を超えた、人間の業と愛欲が渦巻く極彩色の悪夢です。原田美枝子の圧倒的な透明感と、田中邦衛や岸田今日子といった名優たちが醸し出す異様な色気が、現実と冥界の境界を曖昧にしていきます。スクリーンから溢れ出すのは、生理的な恐怖以上に、逃れられない運命に翻弄される人間の美しくも醜い本質そのものです。
特筆すべきは、前衛演劇を彷彿とさせるシュールな演出と、見る者の精神を浸食するような独自の映像美です。地獄の描写は単なる拷問の羅列ではなく、生者の執着が具現化した内面世界として描き出されています。一度足を踏み入れれば、その耽美で冷徹な世界観から逃れることはできません。映画という媒体でしか到達し得ない、五感を揺さぶる究極の情念体験がここにあります。