白石晃士監督の手腕により、単なる都市伝説が肉体的な痛みを伴う絶望の化身へと昇華されています。全編を覆う不穏な空気感と、巨大なハサミが立てる鋭利な金属音による生理的な嫌悪感の煽り方は実に見事。記号としての怪異を、圧倒的な実在感を持つバイオレンスへと再構築した点に、ジャンル映画としての真髄があります。
主演の佐藤江梨子が体現する母親としての葛藤と、劇中に漂う連鎖する虐待の闇。怪異というフィルターを通し、家族の崩壊やトラウマといった現実の痛みを抉り出すメッセージ性は、単なるホラーの枠を超越しています。観る者の深層心理に深く突き刺さる、重厚で血生臭い人間ドラマをぜひ目撃してください。