あらすじ
卓球をこよなく愛し、勝つことに絶対的な自信を持ちながら天真爛漫で気分屋のペコと、“卓球は暇つぶし”と公言するクールなスマイル。二人は幼なじみで、小さい頃から近所にある卓球場、タムラに通っていた。高校生になった二人は共に片瀬高校卓球部に属していたものの練習にはまともに参加しない毎日を送っていた。そんな二人が対戦すると必ずペコが優位に立つ。しかし、日本卓球界の星と期待された過去を持つ卓球部顧問・小泉はスマイルの才能に目を付け、執拗に指導しようとする。しかし、クールが信条のスマイルはそんな小泉の熱血指導を拒絶するのだった。
作品考察・見どころ
窪塚洋介演じるペコの圧倒的カリスマ性と、才能の残酷さを肯定する潔い哲学が本作の真髄です。曽利文彦監督による革新的なCGと劇伴が融合し、卓球を魂が火花を散らす神話的な祝祭へと昇華させました。公開から時を経ても色褪せないその疾走感は、観る者の生命力を激しく鼓舞します。
松本大洋の原作が持つ孤独な詩情を、宮藤官九郎の脚本が実写特有の熱量で見事に肉体化しました。静止画の機微を、音と速度によって動的な高揚感へと変換した演出は、映像化における理想的な相乗効果を生んでいます。原作の精神性を守りつつ、スクリーンでしか味わえない「飛翔の瞬間」を鮮烈に捉えた傑作です。