母が亡くなり、父と4人で暮らしている浅井家の3姉妹。平和な日々を過ごしている彼女たちのもとに、長女の亡き夫の友人が、親友を連れて遊びに来る。やがて彼と惹かれ合う次女の姿を見た三女は、2人を結びつけようと策を考える。
小津安二郎の脚本を、名女優・田中絹代が監督として結実させた本作は、厳格な形式美の中に女性特有の繊細な情動が宿る傑作です。奈良の静謐な風景が人々の心の機微を優雅に引き立て、静寂の中にこそ真実の幸福があることを示唆します。日常の些細な瞬間を気高く描く日本的な美学は、今なお色褪せない輝きを放っています。 笠智衆の静かな風格と若き女優陣の瑞々しい躍動感の対比は圧巻です。月明かりの下で交わされる視線や、言葉にならない想いを掬い上げる演出には映像表現の極致が詰まっています。人生の円熟味と若さの情熱が古都の夜に溶け合う、奇跡のような至高の映像詩をぜひ堪能してください。
監督: 田中絹代
脚本: 斎藤良輔 / 小津安二郎
音楽: 斎藤高順
制作: Eisei Koi
撮影監督: 峰重義
制作会社: Nikkatsu Corporation