本作は、国境や政治という重いテーマを、洗練されたウィットと軽快なユーモアで昇華させた極上のコメディです。次々と巻き起こるトラブルの連鎖は、観る者を飽きさせないスリリングなリズムを生み出しています。文化的な断絶という壁を、笑いという共通言語で軽やかに飛び越えていく演出の妙には、映画ならではの力強い肯定感が満ち溢れています。
主演のアリ・ザファールとヤミ・ゴータムの鮮烈な化学反応は、本作の輝かしい核です。ベテランのアヌパム・カーが見せる圧巻のコメディ演技も加わり、極限状態の人間模様が活写されています。単なる恋愛劇を超え、他者を理解しようとする情熱を問い直す本作は、現代社会に必要な温かな希望を提示してくれる一編です。