あらすじ
日本・アジア勢力圏を拡大する首領の前に、もう一人の首領が立ち塞がる。果てしなき野望は中央政財界にまでおよび...。
作品考察・見どころ
本作の最大の魅力は、佐分利信演じる首領の圧倒的な静寂と、三船敏郎が放つ動的な威圧感が火花を散らす、重厚極まるパワー・ゲームの描写にあります。暴力による直接的な支配を超え、組織を巨大な企業体へと変貌させようとする男たちの冷徹な野望が、スクリーンを焼き尽くすような熱量で描かれています。単なる任侠映画の枠を越え、日本社会の影で蠢く権力構造を解剖するような、極めて知的なサスペンスが全編を貫いています。
松方弘樹ら若手が放つ生々しい暴力の奔流と、老練な支配者たちが繰り広げる静かなる心理戦。この激しい対比が、作品に類まれな重層感を与えています。演出の緻密さと俳優陣の眼光の鋭さは、今の映画界では再現不可能な神域に達しており、観る者はいつの間にか闇の王たちが掲げる狂おしいまでの論理に引き込まれていくでしょう。これは一国家にも匹敵する巨大組織の興亡を鮮烈に刻んだ、至高の人間ドラマに他なりません。