“キミに、幸あれ―”
1998年8月。両儀式は黒桐幹也に頼まれ、一定の期間、黒い猫を預かることになり……。
本作は、シリーズが持つ峻烈な死生観の中に差し込む、柔らかな光のような一編です。ufotableによる繊細な雨や光の描写は、両儀式の「日常」の温度感を鮮やかに浮き彫りにします。坂本真綾と鈴村健一という稀代の表現者が奏でる、静謐ながらも確かな絆を感じさせる演技は、言葉以上の情緒を伝え、観る者の心を深く揺さぶります。 原作漫画の断片的なエピソードを再構築した本作は、メディアの垣根を越えた傑作です。静止画では捉えきれなかった空気の揺らぎや、ふとした表情の変化を映像で見事に補完し、物語の「余白」を贅沢に描き出しました。凄惨な戦いの果てにある、ささやかで愛おしい時間の尊さを、情感豊かに結晶化させた演出には脱帽するほかありません。
監督: あおきえい
脚本: あおきえい / 奈須きのこ
音楽: 梶浦由記
制作: 近藤光 / 岩上敦宏 / 太田克史
撮影監督: 寺尾優一
制作会社: ufotable / Aniplex / Seikaisha / Kodansha / TYPE-MOON