あらすじ
スクープ雑誌「明潮24」に東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤から手紙が届く。記者の藤井は上司から須藤に面会して話を聞いて来るように命じられる。藤井が須藤から聞かされたのは、警察も知らない須藤の余罪、3件の殺人事件とその首謀者である「先生」と呼ばれる男・木村の存在だった。木村を追いつめたいので記事にして欲しいという須藤の告白に、当初は半信半疑だった藤井も、取材を進めるうちに須藤の告発に信憑性があることを知ると、取り憑かれたように取材に没頭して行く。
作品考察・見どころ
この作品の真髄は、リリー・フランキーとピエール瀧が体現する「底知れぬ悪の日常性」にあります。暴力が愉悦や実利として淡々と処理される様は、観る者の倫理観を根底から揺さぶります。静かな狂気を孕んだリリーと、野獣のごとき瀧の対照的な熱演は、スクリーンから不穏な異臭が漂うほどの圧倒的なリアリティを放っています。
物語が進むにつれ、悪を暴こうとする側もまた闇に染まっていく演出が見事です。映像表現でしか到達し得ない生々しい死の気配や肉体の軋みは、正義と悪の境界線を曖昧にし、観客を逃げ場のない当事者へと引きずり込みます。現代社会の深淵を覗き込む覚悟を強いる、まさに魂を削るような衝撃作と言えるでしょう。