この作品はシェイクスピアの悲劇を、ショーン・パートウィーの鬼気迫る名演によって現代的な狂気へと昇華させた野心作です。権力への渇望が理性を蝕み、破滅へと突き進む人間の業が、冷酷なまでに美しい映像美の中で鋭く描き出されています。
原作の格調高い台詞を活かしつつ、映像ならではの閉塞感と生々しい心理描写が、観客を逃げ場のない深淵へ引きずり込みます。舞台では抽象化されがちな血の匂いや孤独の重圧を、息遣いまで伝わる近接撮影で具現化した演出は実に見事です。運命に翻弄される人間の脆さをこれほど情熱的に抉り出した表現は、映像媒体でしか到達し得ない極致と言えるでしょう。