この作品の真骨頂は、密室という逃げ場のない極限状態で、女二人のエゴが凄まじい熱量を持って衝突する点にあります。堤幸彦監督のキレのある演出が、日常の些細な不満を爆発的な狂気へと変貌させる過程をスリリングに描き出し、観る者の心拍数を一気に跳ね上げます。
野波麻帆と小池栄子が見せる、魂を削るような怪演はまさに白眉です。淑やかさの仮面が剥がれ落ち、嫉妬と殺意が剥き出しになる瞬間のカタルシスは、映像でしか到達できない衝撃に満ちています。身近な日用品が凶器と化す泥沼の死闘の中に、人間の滑稽さと業の深さが凝縮された、類稀なる傑作です。