本作の真髄は、偽りの仮面を被った逃亡犯たちが、皮肉にもその嘘を通じて自己の人間性を見出していく逆転の人間讃歌にあります。犯罪コメディの体裁をとりながら、不器用な男たちが他者との関わりで心を氷解させる過程が、テキサスの乾いた空気感の中で温かく描かれます。
スティーヴ・ザーンの喜劇的センスと、ウィリアム・H・メイシーが放つ繊細な哀愁の対比は見事です。既存の価値観から解放され、ありのままの自分を再定義していく彼らの姿は、滑稽ながらも純粋な再生の希望を提示しています。笑いの中に深い人間愛が宿る、珠玉の逸品です。