本作の核心は、七〇年代ヨーロッパ映画特有の洒脱な語り口で、変幻自在な「女性」という存在の深淵を多角的に描き出した点にあります。ステファーヌ・オードランとフランソワーズ・ファビアンという、知性と気品を湛えた名女優たちの競演はまさに圧巻。彼女たちは社会が一方的に規定する女性像を鮮やかに裏切り、観る者を煙に巻くような知的な愉悦を提供してくれます。
単なる艶笑劇の枠を超え、本作は男性社会への痛烈な風刺と、アイデンティティの探究という普遍的なメッセージを内包しています。俳優陣の繊細な表情筋の動き一つひとつが、言葉以上に雄弁にキャラクターの孤独や情熱を物語ります。洗練されたエスプリと毒が共存する、今こそ再評価されるべき極上のアンソロジーです。