あらすじ
「未来、たぶん日本。“ロボット”が実用化されて久しく、“人間型ロボット”(アンドロイド)が実用化されて間もない時代。」 高校生のリクオは、所有するハウスロイド「サミィ」の行動記録の中に、命令した覚えのない行動を発見する。友人のマサキを誘って記録された場所に向かってみると、そこには「イヴの時間」という不思議な喫茶店があった。 そこに集う様々な人間やアンドロイド達との関わりの中で、それぞれが少しずつ影響を及ぼしあい、変わっていく。やがてそれは、外の世界へもかすかな、しかし確実に波紋を広げることとなる。
作品考察・見どころ
人間とアンドロイドの境界が曖昧になる喫茶店を舞台に、本作は心の在処を鋭く問いかけます。吉浦康裕監督特有の、実写を彷彿とさせる緻密なレイアウトと光の演出が、機械に宿る微かな熱量を鮮やかに描写。無機質な規則と有機的な感情が交差する瞬間の美しさは、観る者の倫理観を優しく、しかし確実に揺さぶります。
福山潤や田中理恵らの名演は、記号的な表現を超えて「隣り合わせの存在」としてのリアリティを吹き込んでいます。物語の随所に散りばめられた沈黙の雄弁さは、映像メディアだからこそ成し得た表現と言えるでしょう。単なる空想科学に留まらず、他者への想像力を喚起する至高の群像劇として、今なお色褪せない輝きを放つ傑作です。