本作の真髄は、高度経済成長前夜の浮足立つ社会を背景に、人間の滑稽なまでの本能と理性の狭間で揺れ動く感情を鮮やかに描き出した演出にあります。中山昭二が見せる生真面目ゆえの滑稽さと、小畠絹子の洗練された色香が織りなすアンサンブルは、単なる喜劇の枠を超え、当時の世相を映し出す鋭い文明批評へと昇華されています。
洗練された都会的センスと、熱量を帯びた映像美が融合し、流行語となった「よろめき」を通じて普遍的な人間の孤独と情愛を浮き彫りにします。人間の本質を突く鋭いセリフ回しと俳優陣の熱演は、観る者の心に心地よい刺激を与え、時代を超えて訴えかける圧倒的な娯楽性を放ち続けています。