本作は、凄惨な美しさを湛えるシリーズにおいて、最も華やかで毒気に満ちた少女たちの聖域を描き出しています。忘却という救いと、記録という呪縛の狭間で揺れる人間心理を、光溢れる礼園女学院を舞台に鮮烈に炙り出す演出が見事です。坂本真綾氏が演じる式と、その傍らで情熱的に、かつ危うく輝く黒桐鮮花の対比が、物語にこれまでにない鮮明な色彩と躍動感を与えています。
原作小説では内省的な独白と概念的な対話が主軸でしたが、映像化に際しては妖精の視覚的表現や鮮烈な魔術戦へと大胆にシフトしており、アニメーションならではのスペクタクルを追求しています。文字情報の海を、流麗な作画と重厚な旋律が極上のエンターテインメントへと昇華させた稀有な一編です。忘却の向こう側に残る、真実という名の棘に震えること間違いありません。