深田晃司監督が切り取る本作の魅力は、何気ない日常の断片に宿る息を呑むような光と間にあります。スクリーンから漂う夏の湿り気や川のせせらぎ、そして登場人物たちの体温までもが伝わってくるかのような生々しい質感が、観る者をあの懐かしくも少し苦い夏休みの記憶へと強烈に引き込みます。
主演の二階堂ふみが見せる、少女から大人へと変貌する一瞬の揺らぎは圧巻です。仲野太賀との絶妙な距離感、そして実力派俳優たちが醸し出す滑稽で残酷な大人のリアリティ。それらが交錯する中で、バカンスの裏側に潜む社会の不条理や歴史の影を鋭く突く演出には、映画という表現形式への深い愛と知性が満ちあふれています。