あらすじ
財界きっての大物、手都孝光会長率いる企業グループの傘下で働く医師の時藤隆彦。手都会長の若き夫人・芽衣子と愛人関係を結ぶようになった時藤は、彼女と共謀して、会長の殺害を計画。ふだん自分が働くオフィスから、同じビルの上階にある会長室へザイルを利用して侵入した時藤は、会長を自殺に見せかけて首尾よく殺害。ところがその後、置き忘れたザイルを取りに戻った時藤は、故障したビルのエレベーター内に閉じ込められる。
作品考察・見どころ
吉瀬美智子と阿部寛という圧倒的な存在感を放つ二人が、夜の都会を舞台に織りなす極限のサスペンス。本作の魅力は、緻密に計算された「静」と「動」の対比にあります。エレベーターという密室に閉じ込められた男の焦燥と、愛を信じて街を彷徨う女の孤独。重厚な映像美が、逃れられない運命の歯車を冷徹かつ美しく描き出しています。
北川景子と玉山鉄二が演じる若きカップルの危うい熱量も、物語に予測不能な緊張感を与えます。完璧なはずの犯罪が、些細な不運と感情の暴走で崩壊していく様は、観る者に人生のままならぬ皮肉を突きつけます。都会の静寂に響く鼓動さえ聞こえそうな、洗練された大人のための極上ノワールです。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。