エジプト・ホラーの金字塔である本作は、日常の亀裂から這い出す不可解な恐怖を、生々しい特殊効果と陰鬱な映像美で描き出しています。平穏な家庭が未知の力に浸食される過程は、観る者の生理的な不安を容赦なく煽り、単なるスリラーの枠を超えた真の心理的圧迫感をもたらします。
名優ユスラとアブラ・カメルによる、恐怖に顔を歪める真に迫った熱演は圧巻です。論理の通じない超自然的な脅威に対し、人間がいかに無力で、同時に強固な防衛本能を持つかを浮き彫りにしています。信仰と疑惑が交錯する緊迫感の中で、家族の絆の崩壊と再生を問いかける、深遠なメッセージ性を孕んだ傑作と言えるでしょう。