本作は、二十世紀初頭のトリエステを舞台に少年の性愛への覚醒を眩い映像美で描いています。マルティン・ハルムの繊細な表情とミケーレ・プラチドの野性的な色香の対比は、階級を超えた魂の交感を鮮烈に体現しており、自己を確立しようとする痛切な情熱が観る者の心に深い余韻を刻みます。
流麗な音楽と光の演出は、言葉にできない感情の揺らぎを雄弁に物語ります。ヴィルナ・リージの気品が大人の階段を登る瞬間の痛みと解放を多層的に彩り、甘美な旋律の中に残酷な美しさを封じ込めた本作は、映像が持つ情緒的な表現力を極限まで引き出した珠玉の逸品です。