本作が描くのは、メディアという怪物が一個人の野心と結託した際に生まれる狂気です。アンディ・グリフィスが見せる、素朴な善人から傲慢な扇動者へと変貌する圧巻の演技は、観る者の倫理観を激しく揺さぶります。大衆を操り、自らも破滅していく男の姿は、現代のポピュリズムを半世紀以上も前に予言していたかのような、驚異的な洞察力に満ちています。
エリア・カザン監督の鋭利な演出は、カリスマ性の裏に潜む醜悪な本質を暴き出し、メディアの危うさを突きつけます。パトリシア・ニールの葛藤に満ちた瞳を通じて描かれる偶像崇拝の終焉は、時代を超えて色褪せない鮮烈な警告です。真実が虚飾に飲み込まれていくプロセスの恐ろしさを、これほど情熱的に、かつ冷徹に描き切った作品は他にありません。