あらすじ
第1夜
1909(明治 42)年、実験と数字が好きな10歳の少女・綾子は、最愛の母を病気で失い、「お母さんのような人を助けたい」と決意。父の反対を押し切り、東京女子医専に進学する。
第2夜
1955(昭和30)年、日本住宅公団の設計課は、いつになくざわついていた。新たに公団住宅を作るにあたって、設計課長の本郷義彦が“お台所のマホ様”とよばれる浜崎マホ(伊藤沙莉)に設計チームのアドバイザーを依頼したためだ。マホは、日本初の女性一級建築士。海外育ちで日本の様式美を無視する曲者ともいわれていた。
作品考察・見どころ
本作が放つ最大の魅力は、レコードの溝に刻まれた記憶のように、人生の不器用さを愛おしく描き出す視点にあります。音楽という共通言語で結ばれた友情は、単なる懐古趣味に留まりません。効率を求める現代で、あえて手間のかかる関係性を守ろうとする彼らの姿は、形あるものへの愛着と、目に見えない絆の尊さを鮮烈に浮かび上がらせます。
キャスト陣が見せる軽妙かつ深みのあるアンサンブルは圧巻で、ロマンスとコメディが絶妙な調和を見せています。笑いの後にふと訪れる切なさは、誰もが経験する成長の痛みそのものです。過ぎ去った日々を慈しみつつ、今という瞬間を全力で奏で続けることの美しさを教えてくれる、人生のサウンドトラックのような傑作です。