若き日のダニエル・オートゥイユが放つ、制御不能なエネルギーと神経症的な滑稽さが本作の核心です。都会の喧騒で空回りする男の悲喜劇を、洗練されたセリフと絶妙な間で見せる演出はフランス喜劇の真骨頂。自己愛と孤独が交錯し、人間の滑稽さが残酷なまでに愛らしく描かれています。
キャサリン・アルリックらとの化学反応も絶妙で、狂騒の中に現代人の孤独を浮かび上がらせる手腕に脱帽します。他者との繋がりに飢え、空虚に踊り続ける姿は、滑稽でありながらも不思議な共感を呼び起こすでしょう。魂の叫びが笑いへと昇華される、情熱的な映像体験がここにあります。