この作品は単なるお伽話の枠を超え、魂の深淵に触れるような映像詩です。主演のヴィクトリヤ・ノヴィコヴァが見せる透明感溢れる佇まいと、物悲しさを湛えた瞳は、観る者の心を一瞬で捉えます。1970年代のソ連映画特有の幻想的で重厚な美術設計が、この究極の純愛物語に唯一無二の生命力を吹き込んでいます。
アンデルセンの原作が持つ悲劇性を踏襲しつつ、映像化によって自己犠牲の美学をより哲学的に昇華させている点が白眉です。活字では捉えきれない、海と陸の境界線に揺れる孤独な情熱が、叙情的なカメラワークで見事に具現化されました。言葉を超えた愛の痛みが、静謐な演出によって見る者の魂に深く刻まれる傑作です。