マリオ・アドルフ、ブルーノ・ガンツ、ギュンター・ランプレヒトという巨星たちが共演する本作の魅力は、その凄まじいまでの演じる力に集約されます。三人の老人が対峙する密室のような緊張感の中で、微かな表情の揺らぎや沈黙が、言葉以上に重厚なドラマを雄弁に語りかけ、観る者を瞬時に作品世界へと引き込みます。
復讐と赦し、そして人間の尊厳を問う鋭いテーマ性は、観る者の倫理観を激しく揺さぶります。正義とは何か、罪を背負うことの意味とは何かを、緻密な心理描写でえぐり出す演出は圧巻です。歴史の闇から逃れられない人間の業を、これほどまでに気高く、かつ痛切に描き出した本作は、観る者の魂を震わせる傑作といえます。