あらすじ
昭和30年代の山口・青海島。秋津和子(渡辺 梓)は周りから“和っこ”と呼ばれる元気な少女。高校でバレーボール部のエースとして活躍した後、大阪の紡績会社に就職し、バレー部に入部。部長・宮川文三(桂 三枝)や仲間たちと練習に打ち込むが、不況のため部は解散、退社するはめに。しかし和子はめげずに仲間をいたわり、夫の死も乗り越えて、地域医療の道へと進む。青春をバレーボールに燃焼させ、“東洋の魔女”にはなれなかったが、良き妻、良き母として人生の金メダルを目指した女性の半生記。
作品考察・見どころ
本作の真髄は、六十年代特有のスタイリッシュな映像美と、濃密なサスペンスの融合にあります。ブラッド・ハリスの躍動感とオルガ・ショベロヴァーの神秘性が火花を散らし、娯楽作を超えたエレガンスを放っています。色彩豊かな構図が、観客を陰謀の迷宮へと誘う演出は圧巻の一言です。
原作の心理的な謎解きを、映像ならではの動的表現へ昇華させた点も見事です。文字による恐怖を光と音のコントラストで視覚的な官能へと塗り替え、活字とは異なる映画的カタルシスを追求しています。欲望の果てに真実が暴かれる瞬間の興奮は、映像表現という魔法がもたらす至高の体験と言えるでしょう。