ルーマニア映画界の巨匠ミルチャ・ダネリュクが描く本作は、権力の傲慢さと滑稽さを痛烈な風刺で抉り出した傑作です。飽食に耽る特権階級と、困窮する民衆の断絶が、シュールで重厚な映像表現によって浮き彫りにされています。単なるコメディの枠を超え、人間の強欲さが生む不条理そのものを映像化した、生々しくも洗練された演出は圧巻の一言に尽きます。
主演ドレル・ヴィシャンの怪演は、観る者の五感を逆撫でするほどの迫力に満ちています。彼の卑俗な執着心は、時代を超えて普遍的な権力の腐敗を見事に象徴しており、鑑賞後も消えない強烈な違和感を心に刻みます。冷笑的なユーモアの奥に潜む、文明社会への鋭い警告を全身で浴びてほしい衝撃作です。