この映画の真骨頂は、プレコード時代特有の毒気と煌めきが共存する、スリリングな演出のリズムにあります。広大なアリゾナから欲望渦巻くブロードウェイへと流転する展開の背景には、野心と挫折が隣り合わせの現代社会に通ずる普遍的なエネルギーが満ちており、観る者を一瞬たりとも飽きさせません。
ジョーン・ベネットの意志の強さを秘めた美しさと、ジェームズ・ダンの軽妙かつ情熱的な熱演が生み出す化学反応は、本作最大の白眉と言えるでしょう。虚飾に満ちた犯罪の世界において、真実の愛が試される瞬間のヒリつくような緊張感。それは、どんな欺瞞をも凌駕する「人間の純粋な繋がり」の尊さを、鮮烈に我々の心に刻み込んでくるのです。