あらすじ
ヨーロッパの領主の子アズールとアラビア人の乳母ジェナヌの子アスマール。身分も人種も違う2人だったが、彼らはジェナヌの子守歌を聞きながら兄弟のように育てられた。しかしやがてアズールは寄宿生活となり、用なしとなったジェナヌと共にアスマールも屋敷を出て行くことに。その後成長したアズールは、ジェナヌの子守歌が忘れられず、その国を訪ねるため遠く海を渡った。しかし、ようやく辿り着いたイスラムの地で、“青い目は不吉”との言葉を耳にしたアズールは、目を閉じて盲目のふりをして旅を続ける。やがてアズールは、成功して大富豪となったジェナヌとアスマールとの再会を果たすのだが…。
作品考察・見どころ
ミッシェル・オスロ監督が描く映像美は、まさに動く装飾芸術です。イスラム美術の緻密な幾何学模様と鮮やかな色彩が画面いっぱいに広がり、観る者を伝説の世界へと誘います。光と影が織りなす幻想的な美しさは、実写では到達できないアニメーション特有の魔法であり、一コマ一コマが至高の絵画のような気品を放っています。
物語の根底に流れるのは、人種や文化の壁を越えた「共生」のメッセージです。異なる背景を持つ二人の青年が、対話と信頼を通じて運命を切り拓く姿は、現代社会に必要な普遍的な倫理を問いかけます。言葉の壁を越えて心を通わせる瞬間の尊さは、観る者の魂を揺さぶり、多文化が調和する未来への希望を鮮烈に描き出しています。