江戸の裏町でひっそりと暮らす姉弟。弟はある女をめぐり傷害事件を起こしてしまう。一方姉は借金返済に身売りの話を持ちかけられ
衣笠貞之助監督が到達した本作は、日本映画史が世界に誇る前衛的傑作です。光と影が激しく交錯する表現主義的な映像美は、観る者の深層心理を揺さぶり、狂気と純愛が紙一重であることを突きつけます。物語の筋を追う以上に、画面から溢れ出す圧倒的な情動と、歪んだアングルが醸し出す不安感そのものを体験することにこそ、本作の真髄があるのです。 特に千早晶子の魂を削るような熱演は、静止画ですら叫びが聞こえるほどの迫力に満ちています。吉原という閉鎖的な舞台を精神的な迷宮へと変貌させた独創的な演出は、百年の時を経てもなお、剥き出しの人間性を照射し続けています。言葉を介さずとも視覚だけで絶望と希望の交差を語り尽くす、映画という芸術が持つ原初的な魔力に、ぜひ酔いしれてください。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。
監督: 衣笠貞之助
脚本: 衣笠貞之助
撮影監督: 杉山公平
制作会社: Kinugasa Eiga Renmei / Shochiku