本作の真髄は、70年代特有の芳醇な色彩と、対照的な男性像が織りなす危うい均衡にあります。マイケル・クロフォードの無垢な情熱とクルト・ユルゲンスの老練な気品。この二人がフランスの絶景の中で放つ火花は、単なる恋愛劇を超えた洗練された視覚体験をもたらします。
軽妙なコメディの裏に潜む、ままならない愛の切なさが本作の本質です。ジェネヴィエーヴ・ジルの神秘的な存在感は、刹那の煌めきそのもの。洗練された装いとセンチメンタルな余韻が、観る者の心に情熱を刻みつける、大人のための極上のロマンティック・シネマです。