草原の民、マリ人の精神性を鮮烈な色彩とユーモアで描き出した本作は、民族誌的な記録を超えた極上のマジック・リアリズムを体現しています。現代社会の片隅で息づく異教的な儀式や信仰が、日常の風景に溶け込む様はあまりに幻想的で、観る者の深層心理を揺さぶる魔術的な力に満ちています。
スクリーンに溢れるのは、生と死、性と自然が分かちがたく結びついた原初的な生命の輝きです。ユリヤ・アウグをはじめとするキャスト陣の、素朴ながらも凄みのある佇まいが、女性たちの不可思議な運命に圧倒的な説得力を与えています。合理性では測りきれない世界の広大さと、人間の営みの美しさを祝福する、真に独創的な映像体験といえるでしょう。