あらすじ
小池一夫、小島剛夕の人気劇画を若山富三郎の主演で映画化した娯楽時代劇シリーズの第2作。
幼子の大五郎を乳母車に乗せてさすらいの旅を続ける元公儀介錯人の拝一刀。公儀探索人である黒鍬小角から一刀の殺害を依頼された明石柳生の女性当主・鞘香は、別式女と呼ばれる冷酷非情な女武芸者たちを彼のもとに差し向けるが、一刀は次々とこれを撃破。阿波藩から刺客の依頼を受けた一刀は船に乗って四国へと向かう。そして、同じ船に乗り合わせた公儀護送役の凄腕の左3兄弟と、やがて砂丘を舞台に対決の時を迎えることとなる。
作品考察・見どころ
本作の真髄は、三隅研次監督による様式美の極致と、若山富三郎が体現する圧倒的な殺陣の迫力に集約されます。静寂を切り裂く真剣の唸りと、鮮血が舞う残酷美が同居する映像世界は、観る者の視覚を暴力的に蹂躙します。特に、乳母車に仕込まれた多彩なギミックと冷徹な刺客道のコントラストは、シリーズ随一の創造性を見せています。
死の淵を歩む父子の佇まいには、単なるアクションを超えた深い虚無感と、それゆえに際立つ血の絆が刻まれています。岸田森ら強烈な刺客たちが放つ殺気が、冥府魔道に生きる拝一刀の異質さを引き立て、宿命に抗う人間の根源的な生命力を浮き彫りにします。一瞬の静寂と爆発的な動が交錯する、映像表現の極北といえる傑作です。