本作は1960年代フランスのアンダーグラウンドな熱気を凝縮した、極めて純度の高いクライム・ドラマです。全編を貫くのは、美しさと醜悪さが同居する退廃美。監督による荒々しくも計算された構図は、低予算ゆえの生々しさを逆手に取り、観る者の倫理観を激しく揺さぶる視覚的快楽へと昇華させています。
社会の境界線から溢れ出した登場人物たちが抱える絶望と、刹那的な生への渇望がスクリーンから溢れ出しています。暴力の果てに漂う虚無感を見事に描き出し、単なるジャンル映画の枠を超えて、人間の深淵を鋭く抉り出した一作です。その先鋭的な表現は、今なお観る者の魂に強烈な爪痕を残すことでしょう。