1990年代初頭の澄んだ空気感を閉じ込めた本作は、単なるノスタルジーに留まらない、若者の焦燥と希望を鮮烈に描き出しています。主演の和久井映見が見せる、瑞々しくもどこか儚い存在感は圧倒的であり、真夏の強い日差しと影のコントラストが、青春という限られた時間の尊さを雄弁に物語っています。
かつての熱狂を象徴する音楽が世代を超えて共鳴する瞬間は、本作の白眉と言えるでしょう。蟹江敬三が添える重厚な味わいが、若者の無垢な情熱をより一層引き立てており、失われゆく季節への惜別と、未来への確かな足音を感じさせる稀有な感動作に仕上がっています。